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菊は、日本古来の花と思っている人が多いと思いますが、ルーツは中国です。今から、約千五百年前に中国でチョウセンノギクとハイシマカンギクの交配によって生まれたとされています。

春が桜なら、秋は菊。日本の四季を象徴する花です。秋の行楽で、菊人形とか観菊会もあります。秋の節句である重陽節句(旧暦9月9日)は、菊の節句と呼ばれていました。

でも、菊には、いろんな意味があります。食べられる菊(食用菊)、除虫菊という種類、用途もありますが、もうちょっと違う見方をすると、以下のようなことがあります。

普通、菊を飾っておくと、お仏壇に花を供えるのを連想するかもしれません。実際、中川翔子がプロミスのCM「大人のマナー」で、病気お見舞いで「根(寝)付く」鉢植えや、「死」を連想させるシクラメンを持っていってはいけないとやっていますが、菊も同様で、お見舞いの花としてはタブーとされています。

海軍の練習用飛行機で、「白菊」というのがありましたが、「白菊」というと献花を思い出し、悲しくなると、海軍飛行兵出身のうちの社長が申しておりました。
戦争末期には飛行機が少なくなり、「白菊」に爆弾をつるした「白菊特攻隊」が編成されました。悲しい話ですが、「白菊」は実戦用ではありませんので、性能も貧弱、航行速度が遅く、重い爆弾を積んだために敵艦にたどり着くまでに自分で海に落ちてしまったのが多いそうです。名脇役で知られ、「水戸黄門」でもおなじみの俳優の故・西村晃さんはその隊員でした。

(海軍練習機「白菊」の模型~写真は森兵男さんより借用)
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それから、十六の花びらの菊の紋章は、皇室のしるし。といっても村上氏などは、同じ紋を使っていました。今でも、あるお寺の紋で十六菊の紋章が使われていたのを見たことがあります。

皇室を象徴するような菊の花ではありますが、ただ軍歌で菊、菊花紋が出てくるのは意外に少なく、このブログでも紹介した「愛国の花」と、海軍の軍歌で「海の進軍」くらいでしょう*。「海の進軍」は、伊藤久男さん、藤山一郎さん、二葉あき子さんというビッグネームが歌っています。

「海の進軍(作詞 海老沼正男 作曲 古関裕而)」の二番で、

菊の御紋のかげ映す
固い護りの太平洋」 とあります。

ちなみに、この四番の最後は
「進む皇国海軍の 
晴れの姿に栄光あれ」というフレーズ。「進む皇国の海軍の」と書いているHPやブログがありますが、「進む皇国海軍の」が正しいです。この場合、皇国は「こうこく」とよみ、「すすむこうこくの」では、全体が七五調なのに、七字にならず、字あまりです。

*菊が出てくる有名な戦時歌謡が、まだありました。「日の丸行進曲」です。(2008.1.11追記)