活断層の上に建つ浜岡原発は廃止が当然

今回の浜岡原発停止は、おそらく菅総理が総理大臣になって初めての英断ではないでしょうか。
 
浜岡原発は、以前から活断層が3Km位の近さの場所に存在することが指摘されていましたが、どうやら活断層浜岡原発の真下にもあるようです。浜岡原発の真下を走っている断層は「H断層」と呼ばれていますが、これがずれたのは、8万年前とも1万年前とも言われ、8万年前なら5万年前に活動した断層を「活断層」と呼ぶのが原発の耐震設計の決まりだから、浜岡原発の下には活断層はないと中部電力は言っています。禅問答のようなレトリックですが、1万年前から8万年前に断層が出来たのは事実で、どんなに中部電力が強弁しようと活断層浜岡原発の下や3Kmほどの近くにあるのは事実なのです。そして安政年間に起きた東海東南海の大震災から、既に150年も経過していて、マグニチュード8程度の東海地震は今後30年間に起こる確率は87%といいますから、大震災が今すぐに起きてもおかしくない状況なのです。
 
そんな危険な場所に、なぜ中部電力原発を作ったのか、またなぜ自民党政権はそれを許し、いまだに自民党は狂気じみた安全無視の原発推進論を唱えているのか、まったく理解できません。 安全対策を無視し、危険な立地条件に原発を作った責任者は悪魔のような、とんでもない奴だと思います。
 
5月3日のしんぶん赤旗の報道では、危険な原発の問題での共産党大門衆議院議員の質問に関して、菅首相や海江田経産相は以下のような答弁を行いました。
 
「大門氏は、運転再開が取りざたされている静岡県浜岡原発中部電力)、新潟県柏崎刈羽原発東京電力)についても地震津波の備えが薄いとして『こんな状況で運転再開など許可していいのか。これを認めるかどうかは原発行政転換への試金石になる』と強調しました。
 菅首相は、『地震の影響を受けやすい場所に立地しているとの指摘を受けている。地元の意見もいろいろ出されており、政府として本当に国民に安心してもらえるのか、しっかり見極めて判断しなければならない』と述べました。
 大門氏は、政府が指示した緊急安全対策について、津波対策として打ち出されているのは冷却装置破壊後の電源車の配置などにすぎず、防潮堤など抜本的対策は中長期課題である上、地震対策が『全く欠落している』と批判。福島第1原発事故でも最初は、地震送電鉄塔が倒れ外部電源が失われ、4月7日の余震でも、大きな縦揺れで青森県東通原発などで外部電源が遮断されたことをあげ、地震対策に力を入れるべきだと述べました。
 海江田経産相は、対策が不十分だったとして、『中長期的な地震への備えをしっかりやらなければならない』と答えました。」
 
この答弁が、浜岡原発の停止宣言につながったように思われますが、計画的に廃止していくようにもっていかなければ、不十分と言わざるをえません。 浜岡原発が停止したところで、中部圏で計画停電になるわけでもなく、省エネをやっていけば平常通りの企業活動ができるのであれば、もっと進んで原発以外の電力供給量を増やし、原発自体をなくしていけば良いのです。
 
なお、浜岡原発と同様に危険な柏崎刈羽原発の問題があります。そして、原発だけでなく核燃料の扱いをどうしていくのか、まだまだ課題が多いと思います。
大抵の商業ジャーナリズムは、この浜岡原発停止に関して、中部圏の経済に打撃とか書いていますが、的外れもいい所です。計画停電も必要なし、不足分はまかなえるなら、原発なんかなくても何の問題があるのでしょうか。
それより、住民にとっては危険な原発がすぐ隣にあることは何を意味するのか。東海地震が起きたら、阪神淡路大震災の十数倍の被害が出るともいわれ、それで原発が壊滅し放射能がまき散らかされるとなると、静岡県だけでなく、東京や名古屋も滅ぶのです。
 
なお、政府の対応もまだまだ不十分で、福島第一原発の問題では、SPEEDI放射線の拡散が計測されながら、地元の自治体には伝えられないままになり、今頃になってようやく公開されるとか、日本の気象庁からのデータをわざわざヨーロッパ経由でないと入手できない(気象庁のデータが日本で公開されない)など、情報の隠蔽ともとれることがされていたのは、本当に何を考えているのか、と思います。
 
しかし、ともかくも政府が浜岡原発停止の意思表示をしたことは一歩前進でしょう。危険な原発は、いずれ廃止が妥当だと思います。