長年の自民党の原発推進政策が重大原発事故を招いた

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今回の福島第一原発の史上最悪の事故は、勿論大震災と津波と言う天災をきっかけにしておきました。しかし、そもそも立地条件としてどうなうなのかということ、想定していた地震津波をはるかに上回るものが実際におきたことに加えて、被災した後の東京電力の対応の遅さ、事故隠しとも言われかねない不透明さ、政府・官邸を含めた関係各機関の連絡体制のまずさ等が重なったことについて、大きな問題があったといえます。
 
直接的にみえる東京電力原子力・安全保安院の会見の様子からは、あまりにも情報が隠蔽されているのか、本当に分らないのか、もどかしいものがあり、なんでここまで事態を拡大させているのに、人ごとのような会見なのか不思議でなりません。 特に、事故の直後に東京電力は社員を全員撤退させようとしていたのですから、経営陣の無責任さにはあきれます。東京電力の清水社長は、事故の直後本当に逃げていたようで、大企業の社長で経団連の副会長でもあるのに信じられません。
 
しかし、ここまで中途半端な原発を次から次に作り、国民を危険にさらした張本人はだれか? 今の政府の対応にも弱い面はあったと思いますが、根本的には長年無謀な原子力政策を進めてきた自民党の政治に原因があります。
 
自民党は、『自民党政策集 J-ファイル2010』で以下のように言っています。
「今後のエネルギー需給とわが国原子力技術の国際展開を強力に進めるため、設備利用率の改善等による発電量に占める原子力の比率の向上に向け、整備点検や国の安全審査体制のあり方を再検討し、国際的にも信頼される原子力政策を推進します。また、プルサーマル計画を更に推進するとともに、核燃料サイクルや高レベル放射性廃棄物等の処分に関わる体制を整備するため、国民の理解を得る努力を続けます。」
つまり、原発の総発電量にしめる比率を高め、どの自治体も賛成しないプルサーマル計画は、国民が物分かりが悪いとでもいうように、推進するために「国民の理解を得る」のだそうです。原発の危険性などないんだ、そういうのは国民が愚かなせいだという自民党のロジックが、いかに間違っていたかは、この間の事故が物語っています。東電は自民党の政策に忠実なあまり、自民党と異なる政権には情報をあげたくなかったのでしょう。 さらに住民や利用者よりも、自社の保身のみを最優先させました。 救助にいった自衛隊員にすら、かれらは情報を隠蔽し、救援する人間が慣れない危険な作業をすることになりました。 監督官庁である原子力保安院は、やはり官僚的な体質。 自民党原子力政策にどっぷりつかってきた東電と官僚の隠蔽体質が、事態を非常に困難なものにしました。
 
では、民主党の政策はどうだったのでしょうか。2009年に政策INDEXというのを作っており、そこに書かれているのは、以下です(長いので一部省略)。
原子力政策に対する基本方針
原子力利用については、安全を第一としつつ、エネルギーの安定供給の観点もふまえ、国民の理解と信頼を得ながら着実に取り組みます。
原子力発電所の使用済み燃料の再処理や放射性廃棄物処分は、事業が長期にわたること等から、国が技術の確立と事業の最終責任を負うこととし、安全と透明性を前提にして再処理技術の確立を図ります。また、国が国民に対して原子力政策に関する説明を徹底して行うとともに、関連施設の立地自治体および住民の十分な理解を得るため、国と自治体との間で十分な協議が行われる法的枠組みをつくります。
安全を最優先した原子力行政
過去の原子力発電所事故を重く受けとめ、原子力に対する国民の信頼回復に努めます。原子力関連事業の安全確保に最優先で取り組みます。(略)
設備・機器に対する検査、さらにはソフト面も考慮したいわゆる『品質保証型』の検査も含めた厳正な検査体制の運用、現行のあいまいなトラブル等報告基準を抜本的に見直し、事故・トラブルを原則的にすべて公開することなどの『原子力情報公開ガイドライン』を早期に具体化します。」
自民党が安全対策について言っていないのに対し、民主党の政策は多少ましです。 設備や技術の刷新ともに基準やガイドラインの整備というのは分ります。 それはINGだったかもしれませんが、現実には老朽化した原発設備はたくさんあります。 また残念ながら、情報公開は中途半端なままで、今なお東電がどこまで情報を持っているのかすら、よく分かりません。
 
共産党は、2009年の総選挙政策で以下のように言っています。これも長いので、一部省略。
プルトニウム利用をやめ、原発からの段階的な撤退をすすめます
 政府と電力会社が温暖化対策を口実に新増設を図っている原発は、十分な安全の保証がなく技術的に未確立です。磨耗した配管の破裂で死傷者を出した美浜原発の事故(2004年)にひきつづき、冷却用海水の温度データのねつ造、志賀・福島の各原発の臨界事故隠しなどが次々と発覚しました。(略)国民の安全に責任を持つ規制行政を確立するうえで、原発を規制・監督する原子力安全・保安院を、促進官庁である経済産業省から独立させることは、国際的なルールに照らしても最低限やるべきことです
 昨年の新潟県中越沖地震を契機に、柏崎刈羽原発や高速増殖原型炉『もんじゅ』などの地下に活断層があることが明らかとなりました。(略)すべての原発について活断層調査を実施し、また耐震基準の見直しを行って、原発の耐震性の総点検を実施します。東海地震の想定震源域の真上には浜岡原発があります。このような政府・電力会社による原発立地のあり方は、無謀としかいいようがありません。今の原発では他にも、放射性廃棄物の処理と万年単位の管理の問題、莫大な費用がかかる問題など、多くの問題が解決されないままです。
 こうした問題を抱えた原発からは、計画的に撤退すべきです原発の危険性を増幅するだけのプルサーマル計画や『もんじゅ』の運転再開計画は撤回し、六ヶ所再処理工場をはじめ核燃料サイクル施設の総点検を実施し、計画は中止すべきです。原発の総点検をおこない、老朽原発をはじめ安全が危ぶまれる原発については、運転停止を含めた必要な措置をとらせます。」
 
やはり共産党の言っているのが正しいことは、想定震源域の上に原発があるのがどんなに危険か、今回でよく分かりましたし、保安院が博打うちと十手持ちが兼任しているような立場であること、核燃料の放射性廃棄物の処理や管理が超困難なこと、だから組織をかえ、計画的に原発から撤退する必要があるというのは納得性があり、まさに慧眼というべきです。