航空兵の歌

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陸軍士官学校からは、いくつかの兵隊ソングというような広い意味の軍歌が生まれています。航空兵の歌は、陸士40期生の航空士官候補生(1期生)によってつくられました。

これは「ロッキー山や」という出だしで始まるものです。飛行機に関する軍歌の初期のもので、なんとなくのどかな感じ。作詞は、久保木巌という人らしいですが、曲は一高寮歌の「時乾坤のうつろいに」を借りたものだそうです。1928年(昭和3年)に、下志津の陸軍飛行学校の営地で作られたとのことですが、詳しいことが分っていません。

1.
ロッキー山やアルプスの
雪の嶺々見下ろして
操縦桿を操れば
エンジンの音懐かしく
心も踊る雲の上
ああ壮なるや航空兵

2.
死線を越えて限りなく
青空高く君とわれ
何の恨みのあるものぞ
命捧げて靖国
祀りの神となるものを
ああ快なるや航空兵

3.
東雲の空赤きころ
まどけき夢の巣を立てば
銀の帯せる多摩川
縁に萌ゆる習志野
いと安らけき眠りにて
ああ壯なるや航空兵

4.
翼つらねて勇ましく
大和男児の離れ業
横転逆転宙返り
光る姿のサルムソン
しばし雲間に隠見す
ああ快なるや航空兵

地名としては、多摩川習志野とありますが、下志津とかは出てきません。習志野は騎兵の兵営や騎兵学校のあった場所で、陸軍の一大根拠地には違いないですが、航空兵とはあまり関係ありません。多摩川は、何でしょう。調布が比較的近いでしょうけど。

昭和3年の歌で、これをリアルタイムで歌っていたという人は、陸軍士官学校の後の代の人くらいでしょうから、一般にはあまり知られていないらしいのですが。YouTubeに一つだけありました。



ちなみに、この記事は家にあった『偕行』第628号(平成15年4月)の八巻明彦氏の「雄叫考 航空兵の歌(上)」を参考にしました。